一切合切奪ってよ
先日2000円のランチを食べた。意味がわからなかった。
量は少なくドリンクがつくわけでもなく椅子のかたいおしゃれな店だった。
あっちのドラッグストアのほうがトイレットペーパーが安いから少し遠回りしよう、とか、明日はポイント5倍デーだから金額が大きい買い物は明日にしよう、とかそういう普段の生活をなぎ倒されていくような気持ちになった。
生活に必要ない可愛い雑貨、きらびやかなコスメたち、それらをひとつも手に入れられないみじめさ。
休憩に、とカフェに入った。一番安いコーヒーを頼んだ。デザートは頼めなかった。
どうしても仕事に行けなかった。
朝の通勤時間帯にパジャマのままスーパーに行ったらお金が足りずヨーグルトが買えなかった。
セルフレジなのに店員さんを呼んだ。
帰り道、小雨が降っていたが傘がなかったので少し濡れた。不快だった。
いつもはたいてい日傘か折り畳み傘を持ち歩いている。
とつぜん雨が降り出して一つの傘に二人で入るとき、背が低いので、必死で腕を伸ばして持つことになるんだけれど、一緒にいる人は傘を持とうとはしなくて、わたしは高く高く傘をあげて、半分以上相手に傾けて、結構濡れることになる。
そんな些細なことで軽んじられているとおもう。
だんだん大事にされなくなるのは、ながく一緒にいるとあさはかさが露呈し、丁寧に扱うに値しない人間だと気づかれてしまうからだろう。
世間はいつだって正しい。